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礼文町教育委員会 >  教育委員会について >  教育行政執行方針

教育行政執行方針

令和2年3月
礼文町教育委員会
 
 我が国の現状は、平成20年(2008年)以降継続し続ける少子高齢化の進行を背景に、高度経済成長期から40年以上が経過したことによるインフラの老朽化、高齢化社会の深刻化による慢性的な人手不足、家庭環境の変容、地方自治体から都市部への人口流出など多種多様な重篤課題を抱えております。

 一方で、急進的なグローバル化、IoTやAI(人工知能)などの技術革新が日々進歩を遂げています。そのような中で、小学校の新学習指導要領が全面実施の年となる令和2年度はsociety5.0到来の第一歩となる年度であり、小学校ではプログラミング教育、道徳、英語の教科化など、高度情報化した社会に適応するべき力を培う教育が始まり、教育が担う「人づくり」は社会基盤を補強・再構成する「まちづくり」へと繋がっていくものであります。

 このような社会構造の変化から、核家族化やひとり親世帯の増加と、家族形態の変容に加え、インターネット、ソーシャルネットワークサービスの日常化といったコミュニティの変化により、人間関係の希薄化、ネットワークコミュニティの匿名性が恒常化した弊害である社会的モラルの低下により、地域コミュニティへの参画や協働的姿勢が白紙化されつつあります。このような状況下で、子供たちを取り巻く環境においても家庭や社会の教育力の低下が指摘される中、離島であり人的規模の小さい自治体であることを逆手に取った、地域コミュニティ全体での「教育」を育んでいくことが求められているところでもあります。

 学校現場においては、これまでの我が国の学校教育の実践や蓄積を生かし、子供たちが未来の社会を切り拓くための資質・能力を一層確実に育成することを目指します。その際、子供たちに求められる資質・能力とは何かを社会と共有し、連携する「社会に開かれた教育課程」を重視することが求められております。

 一方で、全国的に「不登校やいじめ問題」など今日的教育課題への対応が急務であり、日常的なふざけあいや些細なやり取りの中にも重大な事案へと発展する可能性を視野に入れ、早期の問題把握に努めるとともに、解決にあたっては、総合教育会議などによる町長部局と綿密な連携を図りながら子供たちを見守る総合的な取り組みが求められているところであります。

 子供たちの健全な成長の実現は学校教育だけではなく、学校、地域、家庭、行政など多岐にわたる個人・組織がそれぞれの役割や機能を最大限に発揮し、社会教育分野における推進政策と連携を図り、課題解決に取り組むとともに更なる発展に注力していくことが重要であります。

 全国的なインフラの老朽化が叫ばれる中で、これからの施設は長寿命化計画に基づくローコスト管理による公共資源維持が求められています。その中でも学校施設は教育の場はもとより、地域のコミュニティの場であり、防災避難拠点である等、多様な側面を複合して持つ施設であることを鑑み、平成30年度に策定された「礼文町教育施設長寿命化個別計画」に基づき、計画的な運用・整備・管理を実施していかなければならないと考えているところであります。

 「第6次礼文町まちづくり総合計画」及び「第2期礼文町まち・ひと・しごと創生総合戦略」の初年度にあたり、これからの社会を展望した教育の創造をめざし、「礼文町教育推進計画」を基本に、「北海道教育の基本理念」や「宗谷管内教育推進の重点」などとの整合性を図りながら、総合教育会議における基本方針や協議を踏まえた教育施策の展開を図ってまいります。
 
 以下、教育行政の主な施策について申し上げます。
 

「学校教育」について

はじめに、「学校教育」について申し上げます。
 
 子どもの健全な育成のためには、確かな学力の定着と向上はもとより、睡眠時間の確保、食生活の改善、家族がふれあう時間の確保など、生活習慣の改善が不可欠であります。

 このことから、毎年実施される全国学力・学習状況調査や体力・運動能力等に関する調査の結果を踏まえ、課題やこれまでの取り組みを検証し、「確かな学力の向上」や「運動習慣、生活習慣・食習慣の改善」につきまして、各学校において策定している「学校改善プラン」などにより、その推進に努めてまいります。

 今年度に小学校から全面実施となる新学習指導要領においては、質の高い理解を図るために「主体的・対話的で深い学び」(いわゆる「アクティブ・ラーニング」)の視点から学習過程の質的改善が求められているところであります。

 こうした観点から、学習への興味・関心を高め、確かな学力の育成に資するため、分かりやすい授業や児童生徒の主体的・能動的な学びの実現に向けて効果的とされるICT(情報通信技術)の活用について、「国のGIGAスクール構想の実現」に向けた制度を活用しながら、全ての学校においてWi-Fi環境の整備と学習用タブレット端末を児童生徒一人に一台ずつ配備してまいります。

 また、外国語教育については、小学校3・4年生では「英語活動」、5・6年生では新たな教科となる「英語」について、新学習指導要領の着実な実施に向けて適切に対応できるよう、ALT職員の積極的な派遣協力とJETプログラムを活用したALT職員の配置による指導体制の充実を図ってまいります。

 さらに一昨年度からスタートした「礼文町学校教育推進計画」に基づき、教育現場と認識を共有しながら、これまで築かれてきた特色ある「礼文の教育」のさらなる進展を目指し、その推進に努めてまいります。

 具体的には、各学校におけるこれまでの特色ある取り組みについて引き続き支援する一方、礼文の子どもたちを幼児期から高校卒業の青年期まで見通して育てていくという理念のもと、平成18年度より礼文町教育研究会を中心として取り組まれている「保・小・中・高の教育連携」に対し必要な支援を行ってまいります。

 この取り組みは、子ども・教職員・保護者を連携の中心に据え、学校種間の垣根を越えて連携協力するという、時代の要請に合致した先見性の高いものであり、基礎学力の定着を目指した「礼文検定」と故郷に愛着と誇りを持つ「礼文学」の実践を通じて、地域の未来を担う子どもたちを地域一丸で育てるという理想的な取り組みでもあります。

 この「礼文型」と言われる教育連携においては、町外の多くの教育関係者から高い評価をいただいているところであり、今後も活動をより進化させるべく学校現場において、継続的に研鑽を重ねているところであります。

 実践にあたる教職員の奮闘にさらなる期待を寄せるとともに、観光大使活動などを通して支えていただいている礼文島観光協会をはじめ、様々な学習機会に積極的に関わっておられる地域の皆様、関係機関の皆様に対しまして、改めて心より感謝を申し上げる次第であります。
 

「学校施設整備」について

「学校施設整備」について申し上げます。

 国の地震防災事業の推進に合わせ、これまで計画的に整備を行ってきた学校施設の耐震化については、既に耐震化整備率が100%となっているところであります。今年度においては、礼文小学校校舎の改修を2か年継続事業として予定しており、合わせて「第6次礼文町まちづくり総合計画」及び学校施設整備計画ロードマップに沿い、今後は船泊中学校及び香深中学校の屋内運動場の整備を計画的に進めるとともに、長寿命化計画に基づいた効果的な維持修繕と効率的な維持管理を図りながら、教育委員会所管施設の適正な運営に取り組んでまいります。

「読書と保健、給食環境、就学支援の充実」について

「読書と保健、給食環境、就学支援の充実」について申し上げます。

 本町の全小中学校においては、子どもたちの読書習慣定着を目的に、朝読書や昼読書活動を積極的に進めているところであり、これまで学校図書の充実を計画的に進めたことにより、当面の目標としてまいりました小学校70%、中学校50%を超える学校図書充足率を達成しているところであります。
今後も、より充実した読書環境となるよう、その推進を図ってまいります。
 
 子どもたちの「健やかな心身」の成長を支え育むため、今年度は「専門医による耳鼻咽喉科検診事業」と学校衛生環境を把握し適正に維持するための「薬剤師による学校訪問事業」を実施いたします。
また平成25年度より全小中学校で実施している「フッ化物洗口事業」につきましては、関係機関による検証と事業評価により、虫歯予防効果と重症化抑制効果が認められていることから、引き続き事業の充実に努めてまいります。
 
 自校調理方式で提供している給食につきましても、引き続き安全で安心な「食」を提供するため、保健所の指導を受けながら施設の衛生管理体制の向上に努め、安定的な事業運営のため、引き続き調理業務や雇用形態の改善を図ることに加え、今年度から給食費の半額程度を助成し、保護者の負担軽減を図ってまいります。また、増加傾向にある食物アレルギーを持つ児童生徒への給食に対しては、「学校給食における食物アレルギー対応の手引き」に基づき、事故防止に万全を期すとともに、子どもたちの食に対する正しい知識や望ましい食習慣を身に付けるため、引き続き「食育授業」を推進してまいります。

 例年、ホッケや鮭、鱈など、季節毎に「ふるさとの海」から獲れた新鮮な食材の提供をいただいている香深・船泊両漁業協同組合様をはじめ、地域の皆様のご厚意に対しまして、改めて感謝を申し上げますとともに、今後も「ふるさとを体感できる」地域の特色を生かした給食を実施してまいります。
 
 心身の障がいなどにより、特別な支援が必要な児童・生徒には、一人ひとりのニーズに応じた適切な指導及び必要な支援を行い、「すべての子どもが力強く生きるために」を目標に、今年度においては5校7学級の特別支援学級を設置し、特別支援教育の充実に努め、円滑な推進を図ってまいります。
 
 特に支援が必要なケースには、引き続き特別支援教育支援員を配置し、きめ細やかに学習活動上のサポートを行ってまいります。

 また学校教育法に定められた経済的な就学支援を必要とする保護者につきましては、児童生徒がこれまで同様、支障なく楽しい学校生活を送ることができるよう必要な支援を行ってまいります。

「礼文高校の支援事業」について

「礼文高校の支援事業」について申し上げます。

 開校以来、地域の高等教育と有用な人材養成に大きな役割を担っている礼文高校につきましては、一昨年から「礼文高校魅力化推進協議会」において、全国からの入学者獲得に向けた検討・協議を重ね、今年度より全国からの推薦による入学が可能となりました。

 高校が進める「魅力ある学校づくり」を支援するため、引き続き「通学生徒へのバス運賃の助成」、「各種検定試験受験料の助成」及び「海外交流事業への派遣」に加え、「昼食費の一部助成」「町外生徒の帰省交通費助成」や「町外生徒保護者来島交通費助成」などを行ってまいります。

 今後も、積極的な全国募集活動の展開を図りながら、島外からの入学者が安心・安全に生活できる学生寮などの受入体制の整備を進めてまいります。

「社会教育」について

次に「社会教育」について申し上げます。
 
 町内においては、人口減少や地域活力の低下が懸念されるなか、青少年の健全育成や子育て世代への家庭教育支援、芸術文化振興や文化財の保護活用など、社会教育が担う役割は多岐にわたっており、継続的・安定的な取り組みが極めて重要であると認識をしております。

 一昨年度からスタートした第3次社会教育推進計画の基本目標『主体的な学びと活動を経て、地域とつながる「れぶん」をつくる』を基軸に、領域毎に掲げた推進目標に沿い、引き続き地域のニーズと課題を把握し、地域の教育資源を最大限活用した特色ある社会教育を展開してまいります。
 
 主要施策である学校・家庭・地域への教育支援活動につきましては、未来を担う青少年の生きる力を体得する機会の確保をはじめとして、子育ち親育ちを支える環境の充実とコミュニティ活動の基盤整備に努めてまいります。
 
 学校教育現場から要望の高い教育活動推進員の派遣については、各学校の実情や課題を把握し、多人数複式学級の支援など引き続き全小学校に派遣を行ってまいります。また関係機関や団体・人材を活用した出前講座など、学校のニーズに対応した事業についても引き続き実施してまいります。

 子育て世代の就業支援という要請の高まりを受けて「礼文町まち・ひと・しごと創生総合戦略」においても「子育て支援」の主要施策として位置づけられている「放課後子供教室」は、児童を持つ保護者の皆さんから大変ご好評をいただいていることから、今年度についても両地区での開催を予定しております。

 香深地区については平日5日間の全日開催とし、船泊地区においても全日受入れを目指した体制整備を進めながら週3回の開催を継続するとともに、夏休み、冬休みなどの学校長期休業中にも開催するほか、学校の振替休日や短縮日課時の受け入れなど弾力的運用を図ってまいります。
 
 家庭教育の充実と子育て支援を目的に、安心で安全な親子の遊び場として「親子遊・ゆうスペース」を潮騒ドームと輝交流館内に開設しているところでありますが、今後も子育て世代からより親しまれる場となるような施設づくりに努めます。

 読書活動の拠点施設である「BOOK愛ランドれぶん」については、地域住民が気軽に集い交流できる施設としてご利用いただいているところですが、全ての町民が本に親しめる環境整備と管理体制の充実を図りながらコミュニティ機能の向上に努めてまいります。

 また、一昨年8月に策定された「子ども読書推進計画」に基づいて、子どもたちが楽しみながら読書に親しむ機会の提供に努めるとともに、乳幼児から本に親しみ、言葉と心を育むための「ブックスタート事業」のフォローアップとして、幼児期から学齢期までの読書活動の連結を目指し、引き続き幼児期の3歳時、就学前の6歳児にも図書の贈呈を行うことで事業効果の増幅を図ってまいります。

 さらには、子ども知育促進のための体験活動や、感受性を高める芸術鑑賞など、保護者とともに多様な学びにつながる機会の提供に努めるほか、小・中・高等学校を通じた英語教育の抜本的強化を図るため、本町のALT職員による幼児・小学生低学年を対象とした英語教室を開催することで、効果的に幼少期から高等教育期へと切れ目なく英語を学ぶ機会の提供に努めてまいります。

「芸術文化及びスポーツの振興」について

「芸術文化及びスポーツの振興」について申し上げます。

 芸術には、本来人々が持っている感受性や創造性といった情緒や精神を大きく刺激する力が潜在しており、その効果は直に鑑賞・体験することによって一層強化されるものであります。

 一方、文化は、長年積み重ねられた人々の暮らしに源を持つものであり、日々の暮らしにおける心の安定はもちろんのこと、ふるさとへの愛着心の醸成などに繋がる側面を持ち合わせております。

 今年度においても、より多くの町民の皆様に優れた芸術文化に触れる機会を確保すべく、多彩な内容による鑑賞事業や幅広い年齢層や多様なニーズに対応した文化振興事業を開催するとともに、地域の文化団体への支援活動を継続し、町民の皆様が心豊かに過ごすため、その一翼を担う機会を提供してまいります。
 
 あわせて、本町の文化・コミュニティ活動の拠点となるピスカ21及び輝交流館は、引き続き町民の皆様のサークル活動や芸術文化鑑賞の場として積極的に活用していくため、長寿命化計画に沿った適切な維持補修や管理コストの縮減に努めながら、施設のさらなる利便性向上と長寿命化を図ってまいります。

 スポーツや運動は、人々が心身の健康を保持し、豊かで潤いのある生活を送る上で必要不可欠なものであると言えます。

 本町におきましても、幼児期から少年期における体力向上に関する取り組みを、家庭教育支援事業や放課後子供教室を通じて、継続的に実施するとともに、成人の健康増進や体力維持を図るため、スポーツ推進委員を活用したなかで、季節に応じた運動・スポーツ事業の実施に努めてまいります。

 あわせて、体育協会などを通じて積極的にスポーツ活動を奨励するとともに、各種スポーツ団体の支援を行ってまいります。

 なお、社会体育施設である潮騒ドーム、自然体験公園、スキー場につきましては、多くの町民の皆様にご利用いただいているところでありますが、引き続き気軽にスポーツ・運動に親しむことができるよう、今年度においても設備や管理機材の更新を行い、適切な維持管理及び運営体制の充実に努め、他の社会教育施設と同様に施設の長寿命化を図ってまいります。

「文化財の保護と活用」について

次に「文化財の保護と活用」について申し上げます。

 文化財は、歴史遺産として郷土の文化を知る上で貴重な財産であり、先人の築いた文化遺産は町民共有の財産として保護・保存し、次世代へ継承していく必要があります。

 平成25年度に国の重要文化財に指定された当町の代表的な縄文時代遺跡である「船泊遺跡」の出土品につきまして、今年度も年次計画に基づき、国の補助を受けて保存処理等修理事業を行います。
また、平成26年度に町指定文化財となった「上泊3遺跡出土遺物」については、今年度も引き続き修理事業を進めるほか、同じく町指定文化財である「四ケ散米舞行列」についても、保存会への助成により支援を行ってまいります。

 こうした町の文化遺産は、積極的に町民の皆様に鑑賞していただく機会を設けるとともに文化財に対する理解促進に努めるほか、昨年度制作した普及活用映像や歴史文化遺産ホームページなど多様な媒体による周知宣伝活動を積極的に展開し、礼文島の「地の宝」として、島を訪れる多くの皆様に新たな魅力を感じていただけるよう努めてまいります。
 
 郷土資料館につきましては、重要文化財の公開や話題性のある展示などにより入館者は年々増加傾向にあることから、引き続き展示内容の充実や利便性を提供していくとともに、今後予定される郷土資料館改修事業に向けて、基本計画の策定を進めてまいります。

 さらに、北海道が行う香深井地区の道道礼文島線改良工事に伴いまして、工事計画個所が埋蔵文化財包蔵地となっていることから、昨年度から4ケ年計画で着手しております「香深井1遺跡」の埋蔵文化財調査事業の発掘調査を実施いたします。
 

 以上、令和2年度の教育行政の執行に関する主要な方針を申し上げました。
 教育委員会といたしましては町民の皆様の「礼文の教育」に対するご期待に応えられるよう、「総合教育会議」をはじめ、あらゆる機会において関係機関と連携の強化を図りながら、「地域の文化と特色を活かした人づくり」をめざし、誠心誠意取り組んでまいりますので、町民の皆様並びに町議会議員各位の特段のご支援と、ご協力を賜りますようお願い申し上げ、教育行政に関する執行方針といたします。

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